もくじ
経営力向上計画とは結局、どういう計画であれば認定されやすいのか?
これって誰もがもっとも知りたいことだと思います。
せっかくつくり方を学習して計画をつくるんです。
やっぱり成果としては認定してもらいたい。
そして胸を張ってどうどうと『我が社はこの道を進んでいくのだ!』と社内外に声高らかに発信したいじゃないですか!
それに。。。国が発信するメッセージ
つまり『我が国の中小企業にはこういう方向で発展して欲しい』という暗黙の想いをくみ取りたいところ。
え?関係ないですか?
そんなことはありません。
みんな自分のことがかわいい。
みんな自分の会社だけをなんとかしたい。
それで当たり前ですし、経営に関わる者ならばそうでなければならないと思います。
だからこそ、自社の独自性を活かすために、全体の流れはくみ取ったうえで判断しなければならないと思うんです。
『まずは話を聴く』
それに国というのは我が国の優秀なブレインが集まっています。
つまり我が国の優秀な頭脳が経済活性化に向けて最適だと思われる施策を打っています。
その思惑を知ることは悪いことではないと思うんです。
『賢いヒトをうまく使う』
そのうえで、それぞれ個性豊かな事業の理想を追求するための計画を立ててまいりましょう。
認定されやすい経営力向上計画の条件を考える
さて、この計画を認定する制度の根源となっているのは『中小企業等経営強化法』という新しい法律。
この法律の内容はまた別途詳しく説明するとして、その方向性によってその条件が定義されるのは当然です。
まずは法案説明の際に出されている、法案の趣旨をみてみましょう。
労働力人口の減少や企業間の国際的な競争の活発化等の下での中小企業・小規模事業者・中堅企業(以下「中小企業・小規模事業者等」という。)の経営の強化を図るため、「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律(平成 11 年 3 月 31 日法律第 18号)」を改正し、事業分野ごとに新たに経営力向上のための取組等について示した指針を主務大臣において策定するとともに、当該取組を支援するための措置を講ずる。
引用元: 法律案の趣旨 By 経済産業省発表
鋭い方はご明答!
しっかり読むと書いてますよね
『事業分野ごとに新たに経営力向上のための取組等について示した指針を主務大臣において策定するとともに、当該取組を支援するための措置を講ずる。』
これを分解すると。。。
○ 事業分野ごとに経営力が向上できるであろう指針をつくる
○ この取り組みをする企業を支援する
なるほど、もう核心が見えてきましたね。
もっと見ていきましょうか
(1)事業分野の特性に応じた経営力向上のための指針の策定
事業所管大臣は、それぞれの事業分野の特性を踏まえつつ、事業者が行うべき経営力向上のための取組(商品・サービスの見直しのための顧客データの分析、ITを活用した財務管理の高度化、人材育成等)について示した「事業分野別指針」を事業分野ごとに策定します。当該指針は経営力向上計画の認定基準となるとともに、新たに認定する「事業分野別経営力向上推進機関」と連携して、経営力向上についての優良事例を中小企業・小規模事業者等に分かりやすく提供するものとします。
(2) 中小企業・小規模事業者等による経営力向上のための取組の支援
①経営力向上計画の認定及び支援措置
中小企業・小規模事業者等は、経営力を向上させるための事業計画(「経営力向上計画」)を作り、事業所管大臣の認定を受けることができます。認定事業者は、固定資産税の軽減(3年間半減)や金融支援等の特例措置を受けることができます。②認定経営革新等支援機関の業務拡大
認定経営革新等支援機関(主に商工会議所、商工会、金融機関、中小企業診断士、税理士等を認定)の業務として、経営力向上に係る支援を追加します。引用元: 法律案の概要 By 経済産業省発表
ここから読み取れることは
○ 事業分野別指針を発表
○ その指針とは経営力向上のための優良事例をまとめたもの
○ この指針は経営力向上計画の認定基準となる
あら、もう明らかになりましたよね。
そうなんです!
この法律の趣旨と概要から読み取るに
『経営力向上のための優良事例を真似して取り組めば認定します』
ということです。
。。。正直、個人的にはちょっと表現が気にくわないです。
経営革新計画の時のメッセージは『みんな新しいことをやれば稼げます!』でした。
今回は『優良事例の真似をすれば稼げます!』と言ってることになります。
これは現実とはまったく逆です。
中小企業は個性のかたまり。
大企業のように、同じような優等生グループであっては勝てない。
もし優等生グループに属するなら、大企業に勝てる商品・サービスが生まれてくることは難しいのです。
あちらは大資本で、優秀な人材軍団が時間をかけて練ってくる。
あちらができないことをやるには、優等生を目指してちゃダメなんです。
あちらが数十万人規模のファンを抱える必要があるなら、その中の数百人規模の大満足をかっさらっていくべきなんです。
しかしここの細かいチューニングは、おそらく実際に計画を支援する認定支援機関の仕事になるのだろうと思います。
国は大きく方針を示す。
我々支援側はその大きな流れを理解しながら、個別の事業集団にフォーカスして調整をしていく。
そのため経営力向上計画の書式は、事業分野指針から施策をいくつか選択せよ!という表現にとどまっています。
確かに譲れないモノを持つ企業であれば、全体の流れを意識しながらいいところだけチョイスすればいい話
そして持っていないのであれば、もうそのまま優良企業の成功事例をそのまま手本にした方がいいですものね。
さすが我が国の優秀なブレーンが検討した仕組み、よく考えてあると思います。
でもやっぱり誤解を生みかねない表現の乱暴さが、個人的には少々気に入りませんけれど。。。苦笑
ところで、こうなってくると事業分野ごとの指針が気になってきますね。
ちょっとだけ見てみましょうか。
事業分野別指針の概要について
本日現在、発表されている事業分野別の指針は以下のとおり
製造、卸・小売、医療、介護、保育、貨物自動車、船舶、自動車整備、生涯福祉
9事業分野ですね。
なんだかカテゴリが揃っていない気がしますが、なぜ保育が?例のニュースの影響??
もしかして担当大臣別に指針を出してきているためでしょうか?
ちょっと確認してみましょう。
【事業分野別指針策定の主担当】
製造:経済産業省 製造産業局 参事官室
卸・小売:経済産業省 流通政策課 中小企業庁 商業課
外食・中食:農林水産省食料産業局食文化・市場開拓課
旅館:観光庁観光産業課
医療:厚生労働省 医政局医療経営支援課
介護:厚生労働省 老健局振興課
保育:厚生労働省 雇用均等・児童家庭局 保育課
貨物自動車:国土交通省 自動車局 貨物課
船舶:国土交通省海事局船舶産業課
自動車整備:国土交通省 自動車局整備課
生涯福祉:??
※ 上記は使用の担当部署の一番上の掲載している名前をチョイスしただけでの参考情報です。
説明用の事業分野別指針概要資料によりますと。。。9事業分野が11事業分野に増えているようです。
この法律は今年の3月に法案が決定し、7月に施行されたばかり。
まだ国の整備も追いついてないようですね。
情報がバラバラです、汗。
こちらも注意深く調査しながら表現していく必要がありそうです。
その中で、最初の製造部分をさらに記載事項を詳しく見ていきましょう。
事業分野別指針の概要について~製造:現状認識・課題、目標編~

このページでは製造業に関する現状認識、業界が抱える課題、目標とする指標及び数値の3つについて表現されています。
現状認識
これまでの景況の経緯、特に国際間競争について表現が強いですね。
やはりグローバル化の進展と新規投資の国内回帰の動き、さらには深刻な人手不足の現状があるとの表現です。
業界が抱える課題
国内外の生産体制再構築の必要性に言及すると共に、
○ IoT等の新たな技術の活用
○ 原価管理の徹底
○ 儲かる製品への注力
○ 継続的なカイゼン活動
○ 標準化、設備投資、省エネ
○ 製造現場のIT/IoT活用
を課題とおいている。
目標とする指標及び数値
目標とする指標及び数値としては、①労働生産性、②売上高経常利益率、③付加価値額の3指標が挙がっていて、事業形態に応じて一つ選択する必要があります。
それぞれ指針目標として
①労働生産性 3年計画:+1% 4年計画:+1.5% 5年計画:+2%
②売上高経常利益率 3年計画:+3% 4年計画:+4% 5年計画:+5%
③付加価値額 3年計画:+1% 4年計画:+1.5% 5年計画:+2%
としています。
事業分野別指針の概要について~製造:実施事項について編~

なるほど、ほぼしっかり施策としては網羅しているのではないかと思います。
しかしやはり、これをすべてまともに取り組んだら優等生ですよねー。
高額なコンサルタントは、これを理想像=ゴールにかかげて現状を指摘したうえで『ちゃんとやってください!』と提案します。
これが全部やれてたらもうすでに優良企業ですよ!って言いたくなりますよね。
でも、このシステムには逃げ道があって、ここからいくつかチョイスする仕組みになっています。
それは企業規模によって変わります。
企業規模 | イ(1)~ニ(3) | ホ(1)~ヘ |
小規模製造業(~20人) | 1項目以上 | ---- |
中小製造業(20~300人) | 2項目以上 | 1項目以上 |
中堅製造業(300~2000人) | 3項目以上 | 2項目以上 |
ま、ある程度は真似して、あとは個性に任せるという仕組み上の絶妙な調整感が『よくぞ考え出した!』と言いたくなります。
認定されやすい経営力向上計画とは?
やはり、お国に言うことを素直にしっかり聞いた計画書に尽きます。
つまり、自分自身のオリジナリティを重視しながらも、優良事例から学べるところからはしっかり学んで、自社の自発的な施策として取り入れていく。
そのうえで、少ないながらも一部のお客さまに熱烈に支持していただける唯一無二の事業を目指す。
そのための計画を内外関係者へコミットして納得のいただける内容であることが、認定される条件として重要であると言えそうです。
では、どうやればそんな計画がつくれるのでしょうか?
経済産業省がおススメの、超簡単計画アプリ?が存在しているとのこと。
本当にそんなに簡単に計画がつくれるのか?
近日中にてその使用レポートをお送りできればと考えています。
それでは今日はここまで
今後ともよろしくお付き合いくださいませ☆
いつも長文・乱文を最後まで読んでくださりありがとうございます♪
すべては企業発展のために
すべてはみんなの笑顔と元気のために